「ダイエット」という言葉は、現代では誰しもが知っている言葉です。
しかしあまりに当たり前の言葉だからなのか、人によって解釈や方法は様々であり、中には危険な解釈をしてしまい体調を悪化させてしまう方もいらっしゃるそうです。
私には今でも連絡を取り合っている大学時代の友人がおりますが、彼がまさに状況を悪化させてしまいました。
これからご紹介するのは、そんな私の友人のダイエットに関するお話でございます。
大学時代の友人
私が大学生だった頃、私には同じサークルに所属する友人がおりました。
名前はKと言い、元気溌剌で短髪のスポーツ男子といったところでしょうか。とても前向きで、逆にネガティブな私にいつもポジティブな言葉を掛けてくれるような存在でした。
そんなK君には彼女がおり、私とK君の彼女であるSさんと3人でよく遊びに行ったり、大学で一緒に授業を受けたりするようなことがよくありました。
因みにSさんは、K君とは正反対とまではいきませんが大人しい性格で、少し神経質なところがありましたが、それでもK君は本当にSさんの事が大好きでした。
そんなK君にとあるピンチが訪れることになるのです。
K君の試練?
ある時、私とK君だけで話していた時にK君に相談を持ち掛けられたのです。
「実はさ…Sからショックな事を言われてしまってね…」
いつも元気でポジティブなK君と思えないような顔をしながら彼は言いました。
「ど、どうしたんだよ…。まさか…フラれたとか…?」
あまりにK君の顔がしんみりとしていたので、まさかと思い私はそのように言いました。するとK君は苦笑いして、
「まさか。そんな事じゃないよ」
それを聞いて何故かホッとした私でしたが、改めて落ち込んでいる理由を聞いてみると、
「Sにさ…、なんか太ってきたよねって言われたんだよ」
「あぁ、そういえば確かに…」
K君の見た目はスポーツ男子みたいな見た目でしたが、最近食べ歩きや遊ぶことが多くなったのせいもあるのか、当初初めてK君と会った時に比べたら顔も体も少し膨らんだような気がしました。しかし、私はこう思ったのです。
(でも別に明らかに太っているという体形じゃないし、Sさんがちょっと過敏すぎるんじゃないかな…)
それでもそんな事をSさんが大好きであるK君にいう事は出来ませんでしたが、私はこう言いました。
「じゃあ、ダイエットするっていう事?」
するとK君は、
「まぁ、そうなるかな…。でさ、お前は痩せている方だから何かコツでもあるんじゃないかと思ったわけよ」
私としては自身の体形をあまり気にしてはおらず、所謂ダイエットなるものをしているわけでもありませんでした。
ただ、K君にとってはSさんに「太った」と言われたことがショックだったのでしょう。
K君は落ち込みながらもやる気はみなぎっていたようでした。
そんなK君を見て、私も何か力になれないかという気持ちからこんな事をK君に伝えたのです。
「それなら、やっぱり運動かな?今度、二人でどっか行くか?」
そんな私の提案にK君は目を光らせて、
「おう!そうしようぜ!」
腹に気合が入ったような声でそう答えました。
ここからK君の試練が始まったのです。
試練の罠?
それから私とK君で相談した結果、身体がすぐ視界に入り、かつ全身をくまなく動かすことが出来るプール施設に行くことに決まりました。
「プールなら健康的にも良いし、全身を動かすからすぐ痩せるだろ!」
K君はそう言って、なりふり構わず泳ぎ始めました。
私から見て、K君は普段からスポーツ男子っぽく見えていたので、
(さすが筋肉もあるし、泳ぎも上手いし、そんな気になる事かな…)
と思い、私だけ何か腑に落ちないような感じで私は泳いでおりました。
私が疲れて休憩していてもK君はずっと泳いでおり、逆に心配になるほどでした。
と言いますのも、真剣に見えますが、あまりK君が楽しそうには見え無かったからです。
その後、プール施設を出てからK君はこんな事を言い出しました。
「よし、沢山運動したからその分食って体力回復しなきゃな!」
私はK君の何かを心配したのか、それに対し、
「でもあんまり食べ過ぎるなよ!運動した分相殺されるぞ」
と言ったのですが、K君は、
「大丈夫だって!これからもあの施設に一人でも通うつもりだからさ!そんな事心配しててもしょうがないさ」
と複雑な笑顔をして答えたのでした。
(ポジティブと言ってもなぁ…)
K君の言葉にそんな感想を持った私でしたが、少し前から感じていた私の嫌な予感はこの後的中してしまったのです。
あれから可能な限りプールに通っていたK君の体形が一向に改善されないのです。それどころかますます太っているような気もしました。体重計で測ってみると案の定、体重は増えていたそうです。
またそれに加え、K君の表情はとても焦っているようで、いつもポジティブ思考のK君はそこにおりませんでした。
前より数段落ち込んでいるK君に関して私は何か力になれないかとインターネットで原因を検索しました。そして、一つ納得してしまうような情報を得たのです。それは…
「ストレス太り」でした。
メカニズムとしては、ストレスを感じることでコルチゾールというホルモンが生成され、食欲を抑える効果もあるされているセロトニンの生成が少なくなってしまい、過食に走りやすくなるというものでした。
私はK君に早速その事を話してみると、やはり本人にも自覚があったみたいでした。そして、そのストレスの原因は、やはりSさんの心無い「太ってきた」という一言、このままだと嫌われてしまうという焦りだったのでしょう。
普段ポジティブなK君と言っても、Sさんからの一言は大きな悩みの種となり、
①早く解消したい
②運動しているのに解消されない
という主に二つのストレスにより、過食を引き起こしてしまったのかもしれません。
K君はさらに落ち込むことなったのでした。
彼の決断
とりあえず私がK君に言えたことは、
「とりあえず運動を一回止めて、別の方法を探ろう」
という事でした。
ここでさすがK君というか、落ち込みはしますが頭の切り替えは早いらしく、彼なりに解決方法を探し始めました。
その後少し時間が経ち、ある時K君から驚くべき報告を聞くことになったのです。
今でも鮮明に覚えているのですが、その時のK君の顔は少しだけスリムになり始めて会った時よりも快活な表情をしていたのです。その報告とは、
「俺、Sと別れたわ!」
「はっ!?」
私は意味が分からないといった具合に言葉を発しました。そんな中、K君は続けます。
「実はさ。痩せるの無理かもって思って、思い切ってSにこのままじゃダメかと聞いたら、嫌だって言うんだ。色々説得したがその内だんだん取り合ってもらえなくなってさ…。だから、このまま付き合ってもお互い関係が悪化するだけだと思って別れを俺から一旦切り出したんだよ」
「一旦って、もし体形を元に戻せたらまた付き合うってこと?」
私は、納得いかないような顔をしてK君に尋ねましたが、
「いや、それは分からない。ただ、一旦Sと離れてみたらすごい楽でさ。もしかしたらこのままお終いになるかも」
終始何かから解放されたような顔をするKに対して、その言葉を聞いた時にはさすがに私も納得してしまいました。
その後、K君とSさんはもう一度付き合うことはありませんでした。
しかし、私はそれでよかったと思っております。
と言いますのも、私は今でもK君と何かしらで連絡を取り合っていますが、最近また彼女ができたらしいのです。
またK君は少し太ってしまったようですが、その彼女はそのK君の体形に関して愛くるしいとまで言っているらしく、見た目より中身が大切と受けて入れてくれているそうです。
今回の友人K君の体験を私は見ていて、あまりよく調べもしないのにダイエットなんてするもんじゃないと思ったと同時に、「ストレス太り」というのは、今後自分の為に興味を持って調べようと思ったのでした。
皆様も、是非お気を付け下さいね!
diary.st著